過日、ヤンゴンとネピドーに出張した。数えてみれば15、6年ぶりのミャンマー訪問である。ヤンゴンの街は相変わらずクリーンで、街並みもそれほど記憶と異なってはいなかった。人々も相変わらず礼節があり、どこかおとなしい。今回も改めて気がついたのだが、ミャンマー人には肥満が少ない。デブっている東洋人は、中国人、華人、韓国人、そして日本人。みっともない話だ。
(ヤンゴンの風景:ミャンマーの持つ潜在力がひしひしと伝わってくる街並み。)
ヤンゴンから高速道路を飛ばして5時間。新首都のネピドーには驚いた。高さのない森林の連なるだだ広い野原に省庁の局舎が点在している。ひとつの省から他の省の建物まで車で10分、20分と離れている。省の建物も道路側からは見えない。車なしでは仕事にならない街に造られている。しかし、外国人には長期であろうと短期であろうと不便はないようだ。ホテルは完備し、モールもできており、スーパーマーケットには必要な食材が溢れている。
(ネピドーのスーパーマーケット:ときは春節、贈り物を買う華人系相手の商売で賑わっていた。)
(ネピドーのスーパーマーケット:手前は香り米。外国人が食材や酒類で困ることはない。)
ヤンゴンではPark Royalという4つ星ホテルに宿泊したのだが、各国のビジネスマンや欧州からの観光客で盛況であった。JICAの広告塔の役目とかで、マラソンのゴールドメダリストの高橋尚子女史も滞在していた。一度見かけたが、思っていたよりも背も高く、細身で、すごく感じのよい女性に映った。JICAもいい女性を選んでいる。
いまは、自分が好きになれない言葉の〈民主化〉が始まり、アメリカの制裁解除が見え始めたことからのミャンマー詣で再開なのだが、その一人に自分がなっているというのも痛し痒しである。
これは余談だが、ミャンマー即軍事国家としてさも恐ろしげに喧伝されているが、自分などは、不用意に現軍事政権が交代したら、かつてのユーゴスラビアがアジアに再現するだけだと思っている。ミャンマーの軍事政権が問題視されるのは、この軍事政権が米国の意に沿わない軍事政権だからという面がある。ミャンマー以上の軍事国家が地球上にはあまた存在する。そのうち、問題になるのは米国になびかない国だけなのだ。今回はヤンゴンとネピドーと合わせて9泊したのだが、自分は軍服姿を一人も見てはいない。
ここ数年、カンボジアのプノンペンを含めて、多くのアジアの首都や大都市を訪問してきた。自分にもヤンゴンとそれらの町を比べることができる。ヤンゴンの印象を一言で述べると、潜在力のある町という印象である。その理由を明確にいうのは難しいが、街並みがそう思わせるのだ。この種の潜在力の高さはプノンペンでは感じない。HCMCでさえもそうだ。恐らくイギリス統治に遠因ありか。
(Happyのチキン麺:確かにハッピーになる麺とビールの昼食だった。)
写真はHappyという麺レストランで食べたチキン入り米粉麺である。美味かった。いまの記憶は定かではないが、300円ぐらいの値段だったと思う。このレストラン、日本のラーメン屋と違い、格式があるせいか、頼んだ麺が出てくるまで缶ビール1本を飲み干すほどの待ち時間が必要である。
ヤンゴンの市民が集うレストランの食事は安価で美味しく、我々に違和感はない。インディカ種の長粒米のご飯に種々の煮物をかけて食べるのだが、言い表せぬ旨さがある。
(旨い国産ウイスキーの2合瓶:背面の新聞記事にも注目してほしい。Thein Sein大統領とワシントンポスト紙のインタビュー記事が全面的に掲載されている。)
酒も豊富である。シャン地方などのワインもあるが、一般的には「ミャンマー・ビア」を飲むことになる。ホップの香りが薄い南国特有の軽い感じのビールだが、喉越しがよく旨い。ミャンマーはいま乾季。雨が一滴も降らない。この季節のよさもビールの味を引き立たせる。そして、忘れてならないのはミャンマー国産のウイスキー。これは旨かった。自分の好みにぴったりである。まろやかでどこか甘く、ストレートでとても飲みやすい。ポケットサイズ1本が120円ぐらい。ホテルに着いたら、近くのスーパーや食料品店でこれをまず求めてリラックスすることを薦める。ヤンゴンの街が感じさせる潜在力といったが、ミャンマーの持つ潜在力をウイスキーの味からも感じ取ることができよう。
最後にミャンマーの通信事情を少し付記する。ヤンゴンとネピドーの双方でインターネット接続上の不便を感じることはなかった。ホテルのフロントにいえば、無料でIDとパスワードがもらえた。ただし、Park Royalの場合、ゲスト一人当たり同時接続は一端末のみ。つまり、PCとiPhoneを同時に接続はできない。モバイルルーターを持ち込んでも、IPアドレスをひとつしかもらえず、APモードでの接続しか許されないので、一台の端末しか同時接続はできない。スピードは、300Kbps程度であった。有線でもWiFiでもつなぐことができる。一方、ネピドーのKumudra Hotelでは、プロキシ・サーバーのアドレスを教えてくれた。ブラウザでプロキシ・サーバーのアドレスを設定するとWiFi経由でインターネットにつながる。日中の速度は100Kbps程度。もっとも早朝には4Mbpsほどまで改善する。日本との時差が2時間半なので、早朝の利用がお勧めだろう。
どちらのホテルでもメールもSkypeも問題なく使える。Skypeはビデオも通った。格安のGoogle Mail電話(Google Voice)はまだGoogle側が対応していないという理由で使えない。Kumudraでは、メーラーがどうしても設定できず、Webメールの使用となった。
インターネットから見たヤンゴンの発達の度合いは、10年前のバンコクやハノイという感じである。モデムで接続する必要ない分だけ当時よりベターである。
ビジネスに欠かせない携帯電話。CDMA450のプリペイド付きSIMが購入できる。しかし、100ドルと高価で、使用期限も3ヶ月と短い。(3ヶ月刻みのようで、購入したSIMは、1月中旬の購入にもかかわらず、3月31日が使用期限になっていた。)対応する携帯電話機を持たない場合、100ドル程度で端末も購入することになる。ヤンゴンとネピドーで利用できるのでまあ便利である。(2012/02/05 記)